東京高等裁判所 昭和29年(う)3579号 判決
被告人 河西義男
〔抄 録〕
検察官の控訴趣意について。
所論に鑑み本件訴訟記録並びに原審及び当審における証拠調の結果を綜合すれば被告人は昭和二十九年三月十五日鰍沢簡易裁判所において窃盗罪により懲役六月、但し四年間右刑の執行を猶予する旨の判決を言い渡され該判決は同月三十日確定したことは明らかである。そして原判示の各所為はいずれも右執行猶予期間中の犯罪であるから原審の如く以上の罪を認定したうえこれが刑につきその執行を猶予する場合には須く刑法第二十五条の二第一項後段に則り猶予の期間中保護観察に付しなければならないのに拘わらず原審は前記判決の言渡のあつた事実を看過し、被告人を原判示の所為につき懲役八月に処し但し五年間右刑の執行を猶予しながら猶予の期間中被告人を保護観察に付しなかつたことはまことに論旨の指摘するとおりであり、かくの如きはひつ竟審理不尽の結果判決に影響を及ぼすこと明らかな事実誤認の違法をおかしたものといわざるを得ないから論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。